連続講座第2回 講演の概要です
地方自治体の財政問題を学ぶ「連続講座」の第2回目が9月11日に行われました。講師は一回目に引き続いて池上洋通さん。
沖縄基地問題を通して 中央政府と地方自治体との関係
はじめに、沖縄基地問題を通して、中央政府と地方自治体との関係を語ってくれました。日本国憲法には、四章「国会」、五章「内閣」、六章「司法」、八章「地方自治」と章立てして書かれている、つまり、市町村都道府県の地方自治体と国会、内閣、司法は、統治機構上同格なんだということです。そのことを知らず、国が上でその次に都道府県、その下に市町村と思っているから、辺野古基地建設に反対していることは地域エゴだ、という声が出てくるんだと話してくれました。憲法14条「法の下の平等」と、憲法95条に書かれている国会の立法権をも拒否できる地方自治の優先の考え方からいっても、沖縄で起きていることは、地方自治の全面否定であり、文字通りの憲法蹂躙なんだということを熱く語ってくれました。
市町村最優先の原則が重要
憲法13条には、「すべて国民は個人として尊重される」と書かれている。財政活動においても、一人一人の権利を保障するには、権利の主体である個人の生活により近い政府により大きな権限を保障するという、市町村最優先の原則が重要だ、という話がありました。そのことは、憲法や地方自治法の条文から読み取れる、市町村の役割を優先するという組み立てを作らなければ権利を実現できない、地方自治法第1条にも地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなけらばならいと書かれている、ということを話してくれました。
効率論と自治体
つぎに、いま様々なところで出てきている効率論について、そういうものときちんと闘う自治体でないとだめだという話がありました。
財政原則の第一は、個人個人の権利を保障するために政策活動があって、事業があって、お金を使うということで、効率を考えひとくくりにするのではなく、一人一人と向き合うということが大事だという話です。
公共施設の全面的見直しの問題
公共施設の統廃合や公共施設の性格の転換、公共施設の委託政策の転換など公共施設の全面的見直しの問題が全国で起きている、これを言い出したのは日本の財界で、最大の目的は職員を減らすことだ。日本経団連のビジョンには、さらに、法人税率を下げなさい、社会保障費を引き下げなさい、消費税は低すぎるなどと書かれている。これを忠実に、このまんまやっているのが安倍首相だ。真剣にこうしたことに向き合っていかないといけないんだ、と語っていました。
すべての個人が「この街に生きてよかった」と思えるように
すべての個人が「この街に生きていてよかった」ということを明確な基準にして、どういう政策を立てていくのか、それを本気になって考えてほしい。それが「みんなの会」の役割だと思う、というまとめで講演を終了しました。